道の駅 「箱根峠」の思ひで…

 

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今日は神奈川県の道の駅「箱根峠」でお散歩です.

 

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箱根峠は神奈川県と静岡県の県境に位置する峠で標高は846mです.

 

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徳川家康により整備された東海道の一部に含まれる箱根旧街道は,勾配の厳しさから東海道の中でも難所とされ,当時は多くの旅人が苦労したようです.

 

江戸時代における主要道であった東海道を監視するために,各地に関所が設置されていました.箱根も関所が置かれていた地のひとつで,芦ノ湖湖畔に1619年ごろ設置されたと考えられています.箱根関所では,旅人が通行する際に髪型や顔を証文と照合するなど手形の確認を行っていました.

箱根関所は東海道の中で一番高い場所にあったことから「山の関所」と言われることもあったそうです.また,箱根峠と箱根関所の間には,東海道10番目の宿場である箱根宿が置かれていました.江戸幕府は,標高の高い場所に設置した宿場や関所の管理に苦労したようです.

 

現在では,箱根旧街道は散策コースとして整備されており,箱根石畳や山中城跡など当時の面影を残した場を歩くことができます.江戸時代に敷き詰められた石畳が現存している場所もあるようです.


その峠の名前が付いた道の駅「箱根峠」は1号線沿いの芦ノ湖近くにあります.

 

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車を降りると,ひんやりとした空気を感じました.

神奈川県の1番目の道の駅として国道1号に整備された「箱根峠」.
道の駅の本「道の駅旅案内全国地図平成24年度版」では,“小さな”道の駅と紹介されています.
確かに小さな道の駅ですが,売店ではお土産や野菜を扱っており,うどんやそばを提供するコーナーもあります.

 

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販売されている野菜をよく見てみると...「箱根西麓三島野菜」でした.
水はけのよい赤土と,冷涼な気候のもとで栽培されている三島野菜.ミネラルが豊富な土で栽培された野菜は糖度の高さが自慢です.

  

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このジャガイモでコロッケを作ったら,道の駅「富士」で食べた「みしまコロッケ」になるのかな”
葉付きで販売されている人参も美味しそうです♪ この糖度の高い三島人参は焼酎にも加工されているようです.真っ赤なフルーツトマトもありました.

 

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1972年に農林水産省から冬春トマトの「指定野菜産地」として認定された三島市などは,トマトの生産基盤が強化され,水耕栽培などの当時の新技術が導入されました.現在でも,高糖度トマトや減農薬への取り組みが続けられています.

 

お菓子類も販売されており,お土産用に買って帰ることができます.

 

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道の駅「箱根峠」名物は展望広場からの景色です.
展望広場とは駅舎の裏側で,箱根の山々と芦ノ湖が望めます.  

 

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駒ヶ岳や芦ノ湖などが見渡せ,天気の良い日には富士山も見ることができるのだそうです.今日は雲が多くて富士山は見えませんでしたが,船を発見しました.

 

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箱根の山々を望める展望スペースでは,道の駅「箱根峠」を訪れたお客さん達がのんびりと景色を眺めていました.

 

 f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 神奈川県型木製ガードレール

 

駅舎の前には木製ガードレールと説明パネルが設置されていました.
神奈川県では道路景観の向上や間伐材の活用のために,県産間伐材を利用した木製ガードレールを開発・設置しています.

 

間伐とは,植林された木々の成長に伴い密集した立木を一部,伐ることです.木や森を健全な状態に保つために行われます.

間伐が行われないと,木に十分な栄養が行き渡らず木の幹が細くなってしまいます.また,太陽の光が適切に届かない環境では草や低木が育ちません.下層植生の消失は生物のすみかを奪うだけではなく,地表の土が露出した状態をつくり出します.これは洪水や倒木といった災害を引き起こす可能性を増大させるのです.

 

林野庁によると,日本の人工林は利用可能な資源が充実しており,間伐といった手入れを適切に進めていく必要があるそうです.平成19年度から平成24年度の6年間において,毎年55万haの間伐を行うことを目標としています.近年の間伐実施状況は以下の表のようになっています.  

 

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(データは林野庁ホームページ「平成23年度の間伐実施状況等」より)

 

表で示した間伐実績は,森林吸収源対策の実績として把握した数値となっています.温室効果ガス削減量における森林吸収量の目標を達成するために,間伐により健全な森林を維持する必要があります.森林による二酸化炭素の吸収作用の保全や強化の重要性が考慮され,平成32年度までの8年間において年平均52万haの間伐を実施することが新たな目標として設定されました.

 

森林における環境保護や温暖化対策としても間伐は重要な工程です.それに伴い伐採された間伐材の有効な活用が模索されています.
林野庁の「公共建築物等における木材利用の促進について」では,木材の利用拡大を図るとともに,低層の公共建築物の木造化を推進する計画が示されています.公共建築物等への木材利用の例として,小学校や福祉施設の建設,オフィス家具への国産材の利用,そして「木製ガードレール」が提示されていました.同資料によると既存の鋼製ガードレールに固定する型式の木製ガードレールは,約6千円/mで,鋼製ガードレールの単価(約5千円から9千円/m)を下回る場合があるようです.
これらに用いる木材の一部が間伐材です.

 

間伐材を用いた木製ガードレールの開発・普及は北海道や宮崎県,長野県,四国などでも進められています.
神奈川県ではコストが安く残材が発生しにくい点が評価され,既存のガードレールを撤去しなくて良いタイプの木製ガードレールが採用されています.

 

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道の駅「箱根峠」に展示されている木製ガードレールの写真です.
既存のガードレール(鉄製)を茶色に塗り,丸太と平板に加工した木材を固定しています.木製ガードレールには木の根本部分や先端部など建築では使えない間伐材が用いられるそうです.

2007年には衝突実験が実施され,国の設置基準を満たすことも実証されています.木製ガードレールとすることで防護柵としての機能も強化されるようです.

 

森林面積が県の4割を占める神奈川県で,県産間伐材を使用した神奈川県型木製ガードレールの設置が推進されている場所が「箱根」です.観光地である箱根において,交通利用の多い国道1号線を中心に積極的に整備されているようです.

 

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国道1号線沿いに,木製ガードレールが設置されているのを見つけました.
右の写真の赤い印“が見えるでしょうか? この赤い線は「国道」であることの印です.応用性の高い木製ガードレールは,路線識別や視線誘導版の設置が可能です.これらも,木製ガードレールのメリットと言われています.  

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 道の駅スタンプ

 

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スタンプは店舗内の情報コーナーにあったと思います.
くっきりキレイにおせました.

 

つぎはどこをお散歩しようかなぁ... 

 


 

名称 箱根峠(神奈川県‐01)
住所 神奈川県足柄下郡箱根町箱根381番地22
アクセス 国道1号線沿い.
関連サイト http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/eki/station/kana_hakone/index.html
ポイント 箱根峠で芦ノ湖を見ながら一休み.

 

【参考ホームページ・参照文献】

静岡農政事務所(2007)「しずおか食だより「静岡の旬」」
林野庁木材利用課(2011)「公共建築物等における木材利用の促進について」

神奈川県ホームページ「県西土木事務所小田原土木センター」:http://www.pref.kanagawa.jp/div/1914/
旧街道ウォーキング 人力:http://www.jinriki.info/
静岡東海道:http://www.shizuoka-tokaido.com/index.html
箱根関所:http://www.hakonesekisyo.jp/index.html
林野庁ホームページ:http://www.rinya.maff.go.jp/index.html