道の駅が1059駅になりました

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 【道の駅あれこれ:その4】

 

今日は,2015年4月に道の駅が1059駅となったことについて調べてみました.

 

  

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 第43回登録

 

道の駅は市町村からの申請に基づき国土交通省道路局が登録を行っています.登録は今回(2015年4月15日)で43回目を迎えます.第43回登録で新たに19駅が登録されたことで,日本全国にある道の駅は1059となりました.新しく登録された道の駅の利用可能となる日はそれぞれ異なり,2015年末にかけて順次オープンしていくようです(和歌山県「だいじ」は2017年オープン予定).

 

f:id:osanpowanko:20150515132031p:plain

(出所)国土交通省道路局ホームページより.

 

詳細は国土交通省のホームページや参考文献に挙げた資料をご覧下さい.和歌山県は新たな道の駅が4箇所もオープンするのですね!!

 

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 道の駅の基本機能

 

道の駅の基本機能については「道の駅が1040駅になりました」 を参照してください.


【ヨーロッパの道路との比較】

道の駅は一般道路におけるサービスエリアのようなもの.24時間利用できる駐車場やトイレを備えています.高速道路のサービスエリアと同様に,提供サービス内容はより良いものへ進化しています.
お土産コーナーが充実していたり限定商品があったりするため,最近では道の駅やSAへの訪問を目的にしている人もいます.お目当てのパンを買ったり,郷土料理を食べたり,自分や知人へのお土産を買い込んだりと,訪れた人は忙しそうです.

 

無料で使えるキレイなトイレに出会うと,日本は良いところだなぁと感じます.
速度無制限区域があることで有名なドイツの高速道路,アウトバーン(Autobahn)はどうでしょうか? アウトバーンにも休憩施設が整備されています.トイレやレストラン,ガソリンスタンドを備えた施設(Autohof)や駐車スペースとトイレのみの施設,駐車スペースのみの場所などがあります.

 

f:id:osanpowanko:20150515132507j:plain

f:id:osanpowanko:20150515132517j:plain

 

左の写真はAutohofという施設があることを示す看板です.Autohofはアウトバーンを降り,一般道を少し行ったところにあります.ドイツの高速道路は(2015年現在)無料なので,途中で降りたり,間違って降り損なったりしても大丈夫です.アウトバーンとAutohofの距離は少しなら良いのですが,高速道路が見えなくなるくらい離れていることもあり,戻るのがちょっと心配になることもありました.Autohofにはレストランや売店,トイレがあり,宿泊施設をそなえていることもあります.レストランといっても(お散歩をしたところは)郷土料理が食べられるわけではなく,サンドイッチやパン,パスタなどです.売店で販売しているものもスーパーで扱っているような普通のお菓子たちです.そして,トイレは有料であることが多いです...
右の写真はアウトバーンの道路沿いにある休憩スペースです.こちらのトイレは無料であることが多いです.でも,トイレットペーパーや便座がなかったりするので利用する際は注意してくださいね”

クロアチアでは高速道路沿いに休憩施設がありました. 

 

f:id:osanpowanko:20150515132636j:plain

 

レストランに加えガソリンスタンド,トイレ,宿泊施設,売店,公園のような広場もありました.おさんぽわんこが利用したところはトイレは無料でした.たくさんの人が利用していたので混んでいました.ちょうど観光用のバスが来たようで売店で買い物をする人も多く見かけました.ちなみに,クロアチアの高速道路は有料です.入り口で切符を採って出口で料金を支払います.料金はユーロかクーナ(クロアチアの通貨単位)で支払うことができますが,おつりはクーナで戻ってきます.スロベニアオーストリアなども有料ですが,ビグネットというシールを買ってフロントガラスに貼ります.

 

ドイツやクロアチアなどの道路にもドライバーのための休憩所は設けられています.でも,日本のように特産品を販売したり綺麗なトイレを備えていたりする施設は少ないのだなぁと思いました.日本には一般道路でも休憩スペース(道の駅)があるので安心ですね“

   

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 重点「道の駅」制度

 

重点道の駅制度については「道の駅が1093駅になりました」 もご参照ください.

 

国土交通省は道の駅を地方活性化の拠点と位置づけ,『重点「道の駅」制度』を創設しました.日本全国にある道の駅の中から優れた機能を持つ道の駅を選び,(1)全国モデル「道の駅」,(2)重点「道の駅」(3)重点「道の駅」候補の3つに分類しています.(2)と(3)は分かりにくいですが,(3)は後ろに「候補」が付いていますね.2015年現在,全国モデル「道の駅」は6箇所,重点「道の駅」は37箇所,重点「道の駅」候補は50箇所となっています.

重点「道の駅」制度において想定される機能は6つあります.

 

f:id:osanpowanko:20150515132929p:plain

(出所)国土交通省道路局(2015)「重点「道の駅」の選定について」より作成.

 

ゲートウェイ型は他の県や外国など地域外から活力を呼ぶことが念頭に置かれています.一方,地域センター型は地域内で安心安全を創り出すための機能となっています.どれかひとつの機能を充実させるのではなく,複合的な施設となることが道の駅には求められているようです.

2015年に新たに登録された道の駅の中で,重点「道の駅」に選ばれているのが「すさみ」と「たいじ」です.重点「道の駅」候補に選ばれているのは「保田小学校」です.まだオープンしていない道の駅でも“重点”となっているのですね.
地域活性化の拠点として優れた機能を(設置から10年以上)継続的に発揮していると有識者懇談会などの選定プロセスで認められた道の駅が“全国モデル”となるのです.今までお散歩した道の駅の中では群馬県の「川場田園プラザ」が全国モデルとして選ばれています.

全国モデルや重点に選ばれた道の駅は各省庁から総合的・重点的に支援を受けることができます.例えば過疎地域における給油所の設置や電気自動車用充電器の設置に対する財政支援,6次産業化に対する交付金などです.

 

【新たな機能を発揮する道の駅たち】

ドライバーの休憩所だけではない機能を備え地域活性化に貢献している道の駅を紹介します.

=インバウンド観光促進の例=
北海道ニセコ町の「ニセコビュープラザ」は外国人観光客向けに10ヵ国語でパンフレットを用意しています.もともと外国人観光客が多い地域(年間38万人)ですが,よりたくさんのお客さんに来てもらい,楽しんでもらえるようにサービスを充実させているようです.無料の無線LANも設置されているのだとか.訪日外国人も道の駅のお客さんとして有望なのですね”

2014年度は旅行収支が55年ぶりに黒字になりました.要因は訪日外国人が急増したためで,日本を訪れた外国人は1467万人に上ります.この数は過去最多です.
訪日外国人の増加に伴い,地方でもサービスが整いつつあるようです.2015年5月12日の日本経済新聞には,「免税一括カウンター」の設置が広がっているとの記事が掲載されていました.「免税一括カウンター」は,ショッピングセンターやアウトレットだけではなく愛媛県今治市の道の駅でも開設準備が進んでいるそうです. 

 

f:id:osanpowanko:20150515133514j:plain

 

愛媛県のしまなみ海道周辺の道の駅(5ヵ所まとめて)は重点「道の駅」に選ばれています.東京や大阪,京都,北海道といったメジャーな観光地だけではなく地方にも外国人観光客の足が伸びているのですね”

 

=地域産業振興の例=
千葉県の道の駅「とみうら」では,特産品のビワを活用し地元の農家や加工会社らがジャムやカレーといった食料品,石鹸などを販売しています.ビワを用いてなんと70種類もの商品を開発したそうです.製品加工工程などで新たな雇用が生まれ,富浦地区住民の1%に相当する60人が仕事に就いたのだとか.

今までお散歩をした道の駅にも,加工施設が隣接するタイプの道の駅がいくつかありました.例えば,滋賀県の道の駅「アグリの郷栗東」 です.また,6次産業化による特産品を用いた商品開発といえば滋賀県の道の駅「藤樹の里あどがわ」 を思い出します.

 

f:id:osanpowanko:20150515133830j:plain

f:id:osanpowanko:20150515133851j:plain

 

地域の特産品を使ったオリジナル商品の開発,ブランド化などを行うことで地元の生産者の雇用を創り出しているのですね.

最近では,大学生を対象にインターンシップ(就業体験)を実施する道の駅もあるようです.道の駅「もてぎ」は観光振興を学ぶ学生を受け入れ,商品開発などを行う予定です.国土交通省は,道の駅と大学が連携したインターンシップを全国で勧めているのだとか.

 

=地域センター型の例=
地域の元気を創っている道の駅として山口県の「ソレーネ周南」が紹介されていました.
地元食材を活かした特産加工品が24時間いつでも買い物できる施設は観光客に魅力的ですが,地域住民向けのサービスも充実しています.周辺地域に住むお年寄りも農産物などの出荷者として活躍しているのです.少量のため市場に出せなかった地産の加工品・農産品を僅かな量でも出品でき,さらには山間部や離島など持ち込みが難しい高齢者のために道の駅側から集荷に出向いているのだそうです. 

 

f:id:osanpowanko:20150515134146j:plain

 

今回紹介した以外にも,頑張っている道の駅はたくさんたくさんあります.道の駅を訪れた際にどんな特徴思っている施設なのか考えてみると,新しい発見があるかもしれません.  

  

f:id:osanpowanko:20140227173908p:plain 道の駅の数

 

道の駅は1991年より実験的に設置されていましたが,正式に認定されたのは1993年です.1993年4月22日に全国で103箇所が登録されました.道の駅が認定されてから20年以上経過し,現在(2015年5月末)は1059駅が登録されています.

 

f:id:osanpowanko:20150515134412p:plain

(出所)データは国土交通省道路局ホームページ.

 

道の駅は順調に増加しています.

国土交通省によると道の駅の全国年間売上額(2012年)は約2100億円です.地域経済を支える施設のひとつとなっているのかもしれません.

道の駅は今後もどんどん増えていくのでしょうか?
お散歩をしていると,道の駅どうしが結構近い位置にあったり,似たような道の駅が集まっていたりもします.同じエリアにいくつも存在するのは効率的なのでしょうか.新しくできた道の駅には明確なコンセプトがあり,集客のための戦略もあると思います.

テレビ番組などで取り上げられるため,バスツアーなどでたくさんのお客さんが訪れるでしょう.全国の道の駅の年間購買客は数2億1000万人(2012年)にのぼります.人気の道の駅は,人が多すぎて駐車場に入れなかったり,売店がとても混雑していたりします.もちろん,観光客が訪れて地域が元気になることは良いことですが,道の駅の基本機能が阻害されるようなことがあってはいけません.また,たくさんの観光客が来る道の駅は,価格が高めに設定されている気がします.道の駅をお散歩していて,きれいな野菜だけれど安くないなぁと思うことがよくあります.おさんぽわんこは,ちょっとひっそりした道の駅も好きです.

 

道の駅の機能は重点「道の駅」制度によりさらに充実したものとなっています.
地域活性化,高齢化,介護の問題,ふるさと納税,防災など最近の日本社会におけるトピックとうまく関連させ進化しているようです.人口が減少し消費が落ち込んでいく中で,訪日外国人の買い物需要を取り込むことは,地方を含めた経済の活性化につながるかもしれませんね.また,高齢者の参加は,自分の作った商品が売れるという生きがいにつながるかもしれません.

1059ヵ所という数は多すぎるのか,まだ増加の余地があるのか分かりませんが,道の駅はより身近な存在となっているようですね”

 

つぎは何を調べてみようかなぁ...

 

【参考ホームページ・参照文献】

 

国土交通省道路局(2015)「重点「道の駅」の選定について」,Press Release 平成27年1月30日.
国土交通省道路局(2015)「「道の駅」の第43回登録について」,Press Release 平成27年4月15日.


政府広報オンライン「地方創生の拠点に!地域を元気にする『道の駅』」:http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg11133.html

「道の駅」による地域活性化の拠点形成:http://www.mlit.go.jp/road/Michi-no-Eki/juten_eki/juten_eki_index.html